「在宅介護での完全側臥位①」

平成31年3月1日

 

こんにちで父が在宅療養となって9ヶ月になりました。

退院した日、自宅に帰ってきた父をベッドに寝かせて、家に連れて帰ってきてあげられて本当に良かった♪とほっとしていたら
「余計な世話をかけさせることになって悪いなぁ……」と申し訳なさそうに父が言いました。
そんなこと言わないでよ〜と涙が溢れてきました。
「今まで本当によくがんばってくれたから、何も心配しなくていいよ」そう伝えました。
自宅に帰れるように準備をしていることは伝えていましたが、本当に帰れるまでは自分はどうなってしまうんだろう…家に帰りたい、でも迷惑かけたら申し訳ない…ときっと父は不安の中にいたことだと思います。
とてもホッとした顔をして笑顔を見せてくれました。 
父の当たり前だった日常を一つ一つ取り戻してあげたいと思いました。

何もかも初めてづくしの在宅介護だったので、当初はわからないこともたくさんあり、緊張や不安もありました。
唾液誤嚥してしまわないかと、夜も気になって熟睡できなかったり、介護生活に身体が慣れるまで大変な時もありましたが、父が家で暮らせることの喜びと安堵の方が大きくて、精神的に楽になりました。

主治医の先生や訪看さんのあたたかいお気持ちがとても大きな支えになりました。
そしてもう少ししたら福村先生に父を診ていただける、それを励みにしていました。

退院から25日目の日、福村先生に父を診ていただいて、父は237日ぶりにお口から食べられるようになりました。
完全側臥位法で食べさせてあげられるようになり、回復体位にすることによって父がリラックスして過ごせるようになり、唾液誤嚥してしまうかもしれないという心配も減って明るい方向へ開けていきました。

父がうれしそうに食べている姿を見て、それまでのこころの痛みが癒され、回復の喜びを感じながら日々を過すことができ、ハートが満たされていきました。

家で暮らせること、食べられること、母と一緒にいられること、穏やかに過ごせること、そういう当たり前だったことを父に一つ一つ取り戻してあげることができて本当に良かったと思います。

つくづく思うのは、私たち家族の想いだけではこうした在宅介護をすることは決してできないということです。
この暮らしが成り立っているのは、福村先生と弘子先生が父の状態を正確に診断してくださって、適切な食物形態や姿勢をご指導してくださったおかげです。
そして訪問医の先生、ケアマネさん、訪看さんなど父に関わってくださる方々が、いろいろなことを教えてくださったり、私たちの思いに寄り添って福村先生からのご指導を共有してくださって、同じ方向を見てサポートしてくださったおかげです。
父が食べられるようになったことを皆さまが喜んでくださって、それがまた私たちにとってプラスのエネルギーとなってとても良い循環が生まれました。
そうしたあたたかな眼差しで見守ってくださって、それぞれのお立場でサポートしてくださったおかげで、今日まで安心感の中で在宅介護をすることができました。

完全側臥位法をしてくださる病院に入院して嚥下治療をしていただいた方が専門の先生方にリハビリを毎日していただけて身体の回復は早いのかもしれません。
でも父は寂しがり屋で母と離れると精神的に落ちてしまうので、一緒にいられることが父にとっても私たちにとっても何よりも大切なことだったので、在宅介護を選びました。
主人の理解もあり、母とふたりで父の介護ができる環境なのもとてもありがたいことです。 

実際に在宅介護をしてみるまでは、私たちにどこまでできるかわかりませんでした。
でも「父が家で暮らせるようにして食べさせてあげられるようにしよう」と覚悟を決めてから、それができるように神さまが計らってくださっているかのように、たくさんの方々が助けてくださいました。
そうした素敵なご縁を繋いでいただいて、本当に多くの方々に支えられて、父にとって幸せな形での在宅介護ができることを感謝しています♡