今年は、ラグビーワールドカップが開催され世界中の国から観戦客が来られました。そのため季節外れのインフルエンザが流行ったことがニュースになったことを覚えているでしょうか。
11月半ばも過ぎ本格的な風邪、インフルエンザの季節になりました。
気をつけないと、この時期に風邪やインフルエンザから誤嚥性肺炎になる方もおられます。
例えば、
80代のご主人を奥様が自宅で介護をされていました。
少し嚥下が気になることがあったそうですが、
食事は常食を一緒に食べられていたそうです。
ご主人の調子が悪くなり、訪問医の先生に診てもらうと
「風邪ですね。栄養のあるものをしっかり食べさせて下さい。」
と言われたそうで、食べやすいものを作りしっかりとたべさせたと。
数日後に体調が悪くなり、病院で診察すると誤嚥性肺炎で即入院。
その後、口から食べる事を禁止され娘さんからお電話をいただきました。
奥様は先生の言われた通り、やったのに何が悪かったのか分からず後悔の念に押しつぶされそうです。医師はいつもと同じ事を話しただけです。誰も悪くないのに誤嚥性肺炎という結果。
風邪やインフルエンザなど喉に炎症が起こると、むせにくくなります。
普段は、むせて誤嚥していなかった食事もむせずに誤嚥することがあります。
この方がどのようにして、誤嚥性肺炎になったかは分かりませんが、
風邪やインフルエンザ、花粉症の時に喉の感覚が鈍り、むせなくなり食事中に誤嚥したり、喉や口に溜まっていた食べ物を食後に誤嚥したり、ベッドで休んでいる時に鼻水を誤嚥したりして、誤嚥性肺炎になることがあります。
最近の嚥下治療「完全側臥位法」を実施している病院や施設、在宅では風邪やインフルエンザ、体調を崩した時に
・真横になって食事をしたり、水分補給をしています。
・唾液や痰を口から出したりして唾液誤嚥予防をしています。
風邪を引いている時の喉はどうなっているかご存知ですか?
内視鏡で喉から気管の入り口を覗いた写真1です。
鼻から鼻水が喉の背中側を伝わって垂れてきたところで、真ん中の暗いところが気管です。ここに唾液や食べ物が入る事を誤嚥と言います。
鼻水が今にもぽたっと落ちそうです。
落ちた先は、気管です。
急にむせたりすることはありませんか?
鼻水が気管に入った瞬間かもしれません。
座位や仰臥位では、絶えず鼻水は気管に向かっています。
就寝時は唾液と鼻水が喉に溜まります。
炎症などで感覚が麻痺していると、むせずに誤嚥してしまいます。
鼻水や唾液の誤嚥を防ぐのに咳払いをしますが、
咳一回で2kcal消費すると言われています。
咳が続くと疲れますよね。
疲れて咳ができなかったら、どうなるか考えただけでも怖いですよね。
風邪やインフルエンザ、花粉症の時は気をつけてください。