「父は急性期病院に3ヶ月、リハビリ病院に4ヶ月入院しています。
誤嚥リスクがあるからとのことで経管栄養となりました。
その間、父は○○を食べたい、お水を飲みたいと毎日のように言いました。
母も私も「きっとリハビリすれば食べられるようになるからね」と毎日病院に行き、父を励ましてきましたが、造影検査と内視鏡検査の結果「誤嚥のリスクが高いから口から食べることは無理」と医師から診断されてしまいました。
その検査は、リラックスできる状況からかけ離れた状況で、ずっと口にしていないゼリーを食べるいう父にとってはとてもハードルが高いのでは…と思うようなものでした。
そのような検査で判断されてしまうことに疑問を持ちました。
父の食べたいという気持ちは消えることはありませんでした。
医師に誤嚥のリスクはあるかもしれないけれど、父の意欲や可能性を見てほしい、口から食べることにチャレンジさせてほしいと何度もお願いしましたが、リスクがあることはここではできないと医師から許可がおりることはありませんでした。
口から食べたいのに食べられない苦しみは計り知れません。
私達家族もずっとこころを痛めてきました。
私が完全側臥位法を知ったのは、そのように医師から食べられる道を閉ざされてしまい、途方にくれながらも父があきらめていないのに私があきらめてはいけないと、父が口から食べられる方法を必死で探している中でのことです。
どんな僅かな可能性でもいいから
口から食べられる方法があるのなら試みてあげたい、そのように思ってきた私達に完全側臥位法は希望を与えてくれました。
これから在宅療養になりますが、父の願いを叶えてあげられるかもしれないと希望を持ち続けられるのも完全側臥位法に出合わせていただいたおかげです。
完全側臥位法を開発された福村先生、甲南医療器研究所の前田さんは患者や患者家族の声に耳傾け、親身になって考えてくださいます。そういったことが何よりもこころ強いです。」
私が目の当たりにしてきたことは
誤嚥のリスクがあるなら胃瘻や経鼻胃管すればいいとそれが当たり前になっているように思える医師や看護師の意識です。
口から食べられるということが、どれだけの喜びをもたらし、生きる希望につながるのかを今一度医療従事者の方々に考えてほしい、それが切なる願いです。
多田良里美